お供え花の名札マナー|御供・供の違いと表記の基本について

お供え花を贈る際につける「名札(立札)」について、悩まれる方は少なくありません。
ちょっと調べてみても、「御供」や「供」といった表書きの選び方や、贈り主の名前の書き方には違いも見られます。掘り下げれば、地域や宗教による違い、また使い分けのマナーが存在します。
この記事では、お供え花の名札に関する基本的なマナーから、表記の具体例、「一同」「有志」の使い方まで、初めての方でも安心して供花を贈れるよう、わかりやすくご案内いたします。
この記事の執筆者
Hanaimo(花以想)店主
お供え花の札の基本とその目的
供花とは故人を悼む気持ちの表れです。その花に添えられる札には、原則「贈り主の名」が記されます。またその札には「表書き(冠文字)」が記され、多くは「御供」または「供」と書きます。
この札は、葬儀の花に限らず、自宅へ贈るお供え花、ご法要の花にもお付けします。それはご遺族にとって「誰が花を贈ってくれたのか」を明確にする目的があるからで、感謝の気持ちや今後のご挨拶の手がかりにもなります。
近年は、形式にとらわれない自由な表現も少しずつ増えてきましたが、札の存在がもつ意味合いは今も変わりません。
「御供」「供」表書きの違いについて
お供え花の名札の最上部には、「御供」または「供」といった表書き(冠文字)を記すのが一般的です。どちらも意味は「故人へのお供え物」という点で同じですが、以下のような違いがあります。
御供 |
---|
「御」は丁寧語の接頭語で、「御供」はより格式があり丁寧な印象を与えます。特に関西地方や目上の方への供花では、こちらが選ばれることが多いです。 |
供 |
---|
「御」を省いた簡略表記で、関東地方では「供」一文字が主流とされます。略式ながら意味に違いはなく、現代では一般的な表記のひとつです。 |
地域性については傾向であり、必ずしも厳密に分かれているわけではありません。あくまで地域の慣習としてどちらが多いかという違いです。Hanaimoでは地域をとわず、フォーマルな印象をもつ「御供」を使用しています。
宗教による違いについて
仏教の場合 |
---|
仏教では浄土真宗のみ香典表書きを「御仏前」としますが、供花名札の冠文字について「御仏前」と書く習慣は一般的ではありません。したがって、浄土真宗でも他の仏教宗派と同様に、供花の立札は「御供/供」で差し支えなく用いられています。 |
神式(神道)の場合 |
---|
かつては供花としても榊を飾る風習がありましたが、現在では神式でも生花の供花を贈るのが主流となっています。表書きは、仏式と同じく「御供」や「供」を使用します。 |
キリスト教式の場合 |
---|
キリスト教の供花は、葬儀においては受付付近に芳名板形式で名前を並べるのが一般的だとされています。このため、キリスト教式では花に「御供」「供」などの表書きを冠した名札をつけません。送り主を明示したい場合は、遺族にあててメッセージカードで弔意を伝えるのがおすすめです。 なお「御供」にかわる表書きとしては「御偲」があります。ご自宅に贈る花であれば「御偲」としてもよいでしょう。 |

「一同」と「有志」の違いと使い分け方
「一同」と「有志」は、どちらも複数人の連名を簡潔にまとめる表現ですが、その意味と使い方には違いがあります。
一同 |
---|
グループ全員の名義として使う言葉で、組織や家族、部署など既存の関係性が明確な集団に適しています。 例)「営業部一同」「親族一同」 |
有志 |
---|
同じ想いを持って集まった個人の集まりであることを表す言葉です。特に組織的なつながりがない場合や、自主的な呼びかけに応じた場合に用います。 例)「有志一同」「〇〇有志の会」 |
選び方のポイント:
- 会社や親族など、組織・団体内のまとまり → 「一同」
- 個人の思いや呼びかけで集まった人々 → 「有志」
どちらも丁寧な印象を与える言葉ですが、贈る立場や立場の関係性によって使い分けましょう。

名札の表記の例
名札には故人名や遺族名は記入しないのがマナーです。お祝いのスタンド花では宛先名(贈られる側)を書くこともありますが、お悔やみ・お供えの花の名札は「御供(供)+贈り主名」だけを記します。
表書き+贈り主名 | 目的 | 贈り主 |
---|---|---|
御供 〇〇家一同 | 家族や親族として贈る場合 | 孫一同、社員一同など |
御供 株式会社〇〇 代表取締役 〇〇様 | 会社として贈る場合 | 社長、会長など 役職名まで記載する |
御供 〇〇大学 有志一同 | 学校・団体の有志で贈る場合 | サークル有志 部署有志 |
御供 〇〇 太郎・花子 | 夫婦・家族での連名 | 連名は3人までが◎ |
御供 〇〇 太郎 | 個人として贈る場合 | 姓名を記す |
おわりに
お供え花の名札に込める言葉や表記には、地域や宗派、贈り主の立場によってさまざまな違いがあります。しかし、どんな形式であっても、最も大切なのは「故人を偲ぶ気持ち」と「ご遺族への思いやり」だと思います。
Hanaimoでは、すべての供花において、名札の表書きは「御供」で統一しております。これは、どなたにも失礼のないフォーマルな表現であると考えているためです。
また、お名前の表記につきましても、贈り主さまのご意向や相手先との関係性をふまえ、最適なかたちでご提案いたします。職場からのご供花、ご親族一同でのお気持ち、有志のお集まりなど、どのようなご依頼にも柔軟に対応しておりますので、お困りの時にはいつでもご相談ください。

この記事の監修者
フラワーギフト専門店 Hanaimo(花以想)店主 鈴木咲子
インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ式フラワーデザインに出会い、ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店でドイツ式フラワーデザインを習得。2002年 通販サイトHanaimo開業。
趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。
メッセージ・手紙 例文集
お花を贈るならHanaimoへ
